鉄道無人駅の価値
2024年11月10日
国土交通省の鉄道駅に関する資料を見ていたら、全国には約4千の無人駅(全体の半分ほど)があることに気付きました。地方で鉄道を利用すると、鉄道旅客運送事業者は当然ながら地域住民の公共性と収益性と言う矛盾を抱えながらも、色々な方法で廃線化させないよう努力していることに気付きます。例えば、無人駅に人が集まる機能・施設を設ける、一部発券業務等を民間に委託する、車掌が駅員の代わりに切符販売・精算業務を兼務するなどが挙げられます。特に地域コミュニティは一度崩壊してしまえば、魅力のない地域となり地域再生事業の妨げになりますので、悪循環を断ち切る視点でも様々なアイデアを失敗を恐れずに小さく試してみることが大切でしょう。
当然、施設の維持・補修には相応の資金が必要ですし、日本人特有の性善説(海外の迷惑系YouTuberの無賃乗車行為などは論外)がもたらすプラスの側面をもっと評価して活用することも大切な要因になり得ます。アニメの聖地化なども日本文化と言われる漫画文化が発展した一例だと言えますが、一部の鉄道マニア(撮り鉄)や訪日客の中には走行中の列車に近づいたり、撮影スポット(私有地である農地)を踏み荒らす、木や枝を勝手に伐採するなど度を越した行動をする者もおり社会問題化してきました。そのような視点で俯瞰してみると、公共交通の要である地方鉄道路線の維持は、様々な課題が複雑に絡み合った日本が抱える負の部分を知恵で解決していくことが重要であると感じます。
最も国鉄(日本国有鉄道)の民営化により、各地域管轄会社に分割された際にも収益性に関する議論があったと記憶しています。ただし、少なくとも公共交通として鉄道の重要性を鑑みれば車両製造技術・運行システムの向上、AI技術による省人化なども大切な要素であり、地元自治体が政治主導型の新線建設や既存のインフラに頼る構造から主体的な政策検討を積極的に進められるような関連法制の整備、地方交付金のあり方等も必要だと考えています。