高速道路の定額制
2025年06月06日
これまで夜間割引のために高速道路上で待機するトラックの問題が指摘されてきました。この大きな課題は、荷主から適正なトラック運送料金を収受せきていない運送事業者が経費を削減するために行ってきた行為であることは明確です。長距離逓減率については首都高速を始めとして適用が開始されていますが、実際に長距離トラック運行に関わってみるとその問題点は多岐にわたることが身をもって感じることが出来ます。それではこの問題の本質がどこにあるのか編集人なりに考えてみたいと思います。
まず長距離輸送に於いては、4時間の連続運転・休憩時間・休息時間などが改善基準告示(厚生労働省)により細かく定められています。また人口減少(消費減少)により積載率が徐々に低下していることから荷主の運送料金に対する賦課料金を単なるコンペティションで決めていく悪い風潮があり、改正物流二法により運送事業者を過当競争をせざるを得ない状況に追い込んだ国土交通省や政府の施策に問題があったと考えるのが自然の流れでしょう。編集人は原則貸切運行ではなく運行形態ごとの料金設定を協力運送業者と話し合いながら決めてきましたが、これを実行するには運送事業を十分に理解する必要があります。荷主側は物流費削減が人事評価基準になることが多く、物流品質は料金を下げるための交渉材料に利用してきた面が否めません。つまり、運送事業者のことや環境問題より自分の評価が先にくるのですから、当然の結末と言えるでしょう。
編集人も多くのロジスティクス分野で施策を講じてきましたが、最も問題となっていたのは現場を知らない幹部(管理職)が勝手にロジックを崩しいていく現状でした。もし協力会社が撤退するリスクがあるのならば、その問題の根源がどこにあるのかを理解できなければ単なる料金比較を優先するだけのことです。そこに人間性が表れなければ、いずれ自分の首を絞めるようなこと(契約に基づく運送業者の撤退)のしっぺ返しが必ずくるのです。常に良好で普通の状態を維持することは容易ではありませんね。