オフィス鴻

高速鉄道の海外輸出

2024年07月30日

ここ数年、日本の大手メーカー(日立・川重等)は海外での高速輸送インフラ受注で中国に競り負けることが多くありました。当然、発注先の国では価格以外でも政治的要因などから案件の発注先を決定するのですが、ここにきて中国経済の綻びとスパイ活動(TikTokなど)・技術流出などの懸念からアメリカやインドネシア、EU加盟国での建設計画が見直されたり、破談になっているケースも増えていると言います。元々、中国企業(政府)では政府が補助金を拠出する形でのダンピングと納期遅延は当たり前で、ジョイント企業からの機密漏洩、品質問題、重大事故など様々なトラブルを引き起こしていることから、リスクを回避する流れは当然の帰結だと思われます。

また、世界中で中国による「債務の罠」により、国防上からも非常に重要な港湾設備・運営(スリランカでの99年間の使用契約)を実質的に中国が支配したり、追加費用を高金利で貸し付けたりする例が多く見られます。鉄道インフラ整備では車両製造技術力だけでなく、運営・維持補修などを総合的に判断する必要があると言うことでしょう。しかし、日本の政治家の政治献金利権と同じように賄賂が横行している国も多く、数年前には日本の商社関係者が逮捕された事案も起きていますから、国民性や国家統制の違いが端的に表れている例のように思います。いずれにしても、最終的に自国民の安全と利益を第一に考えた判断が国家指導者に求められていることに変わりはないでしょう。

少し話が変わりますが、一世代前の列車やリクライニング式のシートには背もたれ部分と着座部分に若干の隙間があるのですが、ご家庭にあるソファーを想像して頂ければわかり易いかと思います。この隙間に小銭や小物が挟まっていることがあり、実際に東京メトロ丸の内線で使用されていた車両が東南アジアへと輸出され、現地で車両整備を指導している最中に携帯電話が発見され、数年ぶりに日本の持ち主に返還されたという記事がありました。これも安全品質を重視する日本文化の一面かも知れませんね。