オフィス鴻

運送2024年問題(6)

2023年02月09日

最後にお伝えしたいことがあります。1つ目は、大手通販サイトを中心に消費者に配送はタダ(無料サービス)との間違った認識を与えてきたことで、個人事業主として荷主と業務委託契約を結んでも、実質的には荷主の指揮命令下で働いており、従業員としての身分保障を求める訴訟も起こされています。1日200個(1時間20件×10時間分に相当)の宅配ノルマありきでは、品質レベルが低くなるのは自明の理ですよね。最近は、個人客中心の新聞配達や花屋、牛乳販売店などにも、受け取り側の安心感を背景に少量の宅配を依頼するケースもでてきました。

2つ目は、配車担当者の異動と業務チェックです。全体最適配車と収益配分の公平性(賃金規程)チェックを経営者が怠ると、忖度(接待、キックバック、特定運転手への優遇など)が収益改善の妨げを生むことです。また、異動は前任者の影響力排除(古参運転手の既得権益の見直しなど)を進める絶好の機会であり、編集人はここが運送会社が適正運賃を収受し、かつ安全とサービス水準を高めるための最大の難関だと思っています。

3つ目は、配車計画(運行管理業務)で、5台以上の営業車両(自家用車)を有する企業にも運行管理業務が適用されました。最近の運転手には、運行前点検で定められたエンジンオイルやラジエーターの水量チェックすらしない(できない)運転手もいるそうで、修理費(エンジン載替で100万円程度)と収入機会損失を招きます。また、他の通行者にも渋滞など多大な迷惑をかけ、会社の看板が入っていれば企業のリスク管理の欠如が露呈します。運送業界の悪しき慣習を排除することで、業界の垣根を越えて使用可能な共通プラットフォーム構築など、運送事業者にも新たなビジネスモデルでの利益確保チャンスが巡ってきたと感じています。