EC拡大と宅配事業の課題
2023年03月05日
佐川急便・ヤマト運輸等の宅配便料金が3割ほど上昇した宅配クライシスから、さらなる値上げが進んでいます。宅配便、路線(特積み)に共通している問題は、再配達とラストワンマイル拠点の量的パンク(特に冷凍・冷蔵)だけでなく、過重労働に起因する管理者・運転職・構内仕分作業職不足(離職)が主因だと考えています。最近は、コンビニでの取扱い(受け取り)や専用ロッカー設置、置き配なども進んでいますが、BtoC需要増加により新たな課題解決策が必要とされていくことでしょう。
編集人は、このラストワンマイルに至るまでの中間流通(メーカー~倉庫~デポ~荷受け)に於ける物流現場を長年見てきました。詳細は後述しますがCPFR(Collaborative Planning Forecasting and Replenishment、簡単に言うと事前販売予測)の精度がAI技術等の導入で高まれば、中間流通全体で適正コスト(無駄の少ない物流)に近づけていくことが可能になると考えています。倉庫では、IT技術の進歩で殆ど人手を伴わない在庫管理と出荷が可能になりましたが、入荷作業(トラック運送)の自動化・効率化、および納品作業は、現在でも運転手やフォークオペレーターが行うなど、根本的な課題も残されています。編集人が20年以上前に1万坪弱の物流センター新設に関わった時は、入荷バース・出荷バース設計、マテハン機器導入と人件費の効果比較(人集め)と緊急時対応が重要な要素でしたが、今後は倉庫と運送の間でより高度なレベルで相互情報共有の仕組みが導入されていくことでしょう。
また、今後は運送事業者のレベルアップ(特に配車・営業人材)が収益性の差に直接影響していくこと、そのキーは省力化、人材の育成、情報活用にあることは容易に想像でき、難易度の高い仕組みづくりによる先行者利得は相当大きいと思われます。