オフィス鴻

JALの飲酒トラブル

2025年12月05日

日本航空(JAL)がパイロットのアルコール(飲酒)問題で、航空機の遅延(実質欠航)と言った重大インシデントについては国土交通省が飲酒に関する社内での管理監督が不十分だとして日航を厳重注意しました。パイロットと言えば高給が保証された職種であり、同時に乗客・貨物の安全を確保する保安要員としての役割を担っています。今回のハワイ発便の当該機長(64歳)は懲戒解雇処分となりましたが、他のパイロットに対しても休息時間中(勤務外)のアルコール摂取に関する社内誓約書を提出させる動きがあるようで、少なくとも一定期間は飲酒を中止させる必要があるように感じます。

日本航空は鳥取社長をはじめ全取締役・執行役員ら計37人の報酬減額処分を決定しましたが、乗客等の安全と引き換えに社長が月額報酬を2か月間30%減、安全統括管理者・運行本部長が1か月間20%減、他取締役・執行役員が同10%減とする処分は同社が決定したものです。航空法ではパイロットがアルコールを摂取してから一定時間以内に操縦してはならないと明記されていて、国内大手のJAL/ANAなどの大手エアラインでは、フライト前12時間以内の飲酒禁止を基本とする社内規定が設けられています。自動車運転でさえ厳しいアルコールチェックがあるのに、甘えすぎの企業体質とも言えるでしょう。

全日本空輸(ANA)でも2019年に国土交通省から事業改善命令を受けたパイロットの飲酒問題について、再発防止策を含む報告書を同省へ提出しており当該男性機長を懲戒解雇した経緯があります。同機長は乗務前のアルコール検査で規定値を超えるアルコール量が検出され当該便を含む国内線4便に遅延が発生しました。元機長は乗務前日も含めてほぼ毎日飲酒しており、飲酒制限がない場合は飲酒量が多く、日ごろからの飲酒習慣に問題があったといわれます。そして隠蔽対策とも言える社内規定に反する行為を行っていたとされ、会社組織としての自浄作用は形骸的であったのだと推測されますね。