JR東日本の取り組み
2025年06月09日
JR東日本がライドシェアへの参入を正式に表明しました。JR各社は「駅レンタカー」を全国250店舗で展開していますが、その売り物は全店舗が駅に隣接していることで、駅を降りたらすぐにそのままレンタカーで移動可能であること、列車との同時利用で料金が安くなることが最大の強みです。編集人はこれまでJRのレンタカー事業が地方の公共交通にどのように関与していくのかを注視していました。形態としては駅員をドライバー兼務としたライドシェア形式なのですが、一般的なライドシェアとは異なり地方自治体などが運営主体となる公共ライドシェアの枠組みで事業を始めています。
今年3月から地域限定(千葉県)で早朝(始発)・夜間(終電)で路線バスの運行時間外にサービスを提供すること、タクシーと同料金とすることなどJRが抱える地方路線の維持に一役買うものと思われます。この取り組みの良さは、利用客にとってはタクシーの少ない地域での公共性の高いサービスである点です。またJRにとってもレンタカーの稼働率を上げると言う観点では地域の需要実態に合わせた運用が可能になるため、効率的かつ実需に合わせた配車が可能になるなど減少傾向にある地方路線の乗客に焦点を合わせたものになると見込まれています。これまでは廃線後はバスに切り替えるケースが多く、現在のバス乗務員不足にも対応可能となっている視点が新たに加わることで新たな公共交通ビジネスのあり方を示しているようです。
日本人にとって馴染の浅いライドシェアですが、最近はタクシー乗務員の処遇改善・働き方の多様化・アプリ配車などにより数年前に比べてタクシー稼働台数・稼働率ともに好転してきました。しかし全国規模で見れば大都市圏と地方との差は大きく、元々あるJR各社の経営資源を活かす形でのビジネス化には期待できそうな感じがしています。一方で駅員をドライバーとして稼働させることで安全面がおろそかにならないのか心配が残ることも事実で、当面は地域を絞り込んだ実証実験が行われるものと考えています。