JR貨物の検査不正
2024年11月23日
JR貨物の車両部品組み立て作業で検査不正が発覚しました。その影響で全運行列車が運転を一時見合わせる等の措置を講じましたが、その後に新たなデータ改ざんが見つかり、対象車両は600両を超えています。また、東京メトロ・京王電鉄等でも同様の事案が発生しています。運送2024年問題対策としてモーダルシフト化推進による業績改善が見込まれる中での不祥事であり、従業員から不正に関する申告があったことは組織ぐるみでの不正が常態化していたことが伺えます。また、初動段階で国土交通省の特別監査(監査の中でも重大事案を担当)に向けた準備中に一部保管データの確認作業を行っておらず、不正そのものは2014年頃から確認されているということですから、鉄道車両の要とも言える車輪と車軸に係る安全性を蔑ろにしてきた責任は非常に重大だと言えるでしょう。
大雨や台風などの自然災害で運休することが多いJR貨物(コンテナ輸送)は、これまで荷送先への到着に比較的時間的余裕がある製品・原料等を中心に輸送されていましたが、昨今では宅配貨物などの長距離輸送にも活用されています。その理由は、第一に料金がトラック輸送に比べて安価なこと、地球温暖化対策としてCo2排出量が少ないことが挙げられます。また、身近な引越貨物輸送や新幹線等の鉄道車両輸送にも活用するなど、ここ数年様々な需要を開拓してきました。また東京品川にある東京ターミナル駅の新設工事(旧施設の改修ではありません)や保管倉庫事業にも多額の投資をしてきました。実際に全国の鉄道貨物駅は徐々に廃線等により減少傾向にあることは事実ですが、トラックとは異なり一時的にコンテナに積んだまま仮置きできる仕組みもあります。
その他、元々は貨物専用線であった線路を武蔵野線・京葉線として活用したり、地方在来線・地方経済に一定の役割を果たしてきたことも事実です。ただ、全国の線路維持には莫大な費用を要することも今回の不正の遠因となったことは否定できないようですね。