UNIQLOの物流戦略
2024年07月21日
Amazonのビジネスモデルは、プラットフォーム主導型のECサイトから物流機能(特に翌日配達)にフォーカスできる業務はすべて取り込んでいき、その規模感と対象となる事業範囲(例えば、書籍販売から始まり処方箋調剤まで手掛けるなど)を拡大してきました。その圧倒的とも思えるスピード感は、かつて日本の地方都市を中心にGMS(イオンなどの小売業)が地元の商店街の衰退を招いた構図よりも遥かに戦略的に行われているように感じます。つい最近の出来事ですが、Amazonはマーケットプレイスに出品する事業者に対して、過剰在庫分のコスト負担と適正在庫化(原則欠品なし)についての要望を出したことが報道されましたね。実際にはAmazon側が譲歩する形で一旦交渉の幕引きが行われたようですが、サプライチェーン上の物流機能強化と言う点で考えれば、既に日用雑貨・飲料・加工食品などにも参入していますので、今後日本での日常生活の一部となりつつあるように思われます。
さて、ファーストリテイリング(UNIQLO、GUブランド)の物流といえば、SPA(製造小売業)方式を軸に世界各国の顧客の手元に必要な商品を届けることをメインフレームとして、需要予測に基づくムダの極力少ない在庫管理を平成初期から行っている一方で、当時外部から招聘された経営者が様々な物流機能を調査し、実証実験を行ってきたことは余り報道されてきませんでした。実際に編集人が勤務していた企業の当時最新鋭だった仕分けマテハンを見学され、インナーを対象とした物流システムの参考にされていたり、中国国内で生産された売れ筋動向に合わせた多sku商品の箱積め(通常は1箱数sku)方式と、日本国内での余剰在庫品の店間移動の組み合わせで対応されてきました。
最近では、生成AIでの需要予測アルゴリズム活用、原材料を製造事業者とのグルーバル提携、RFID(自動認証技術)を取り入れた全自動型倉庫運営など、大手物流企業をも凌駕しかねないほどの効率化を実現しているようです。