医師の労働環境改善
2023年10月23日
2024年度から施行される労働時間規制(働き方改革)により、勤務医の時間外労働は原則年960時間(月80時間)に規制されます。この影響を一番受けるのは、大学病院の勤務医、3次救急(救急科)、外科、産科、地方の基幹病院などと言われています。患者側の視点では、大学病院から派遣される勤務医によって診療体制を維持してきた地域の基幹病院での医師不足(派遣医の減少)から、夜間救急外来の中止や救急車(重症患者)のたらい回し、外科の手術実施可能件数の減少・延期が起きる可能性を示唆しています。
編集人が所属していた企業では、「ファストドクター」という緊急時に医師が往診してくれる医療機関と契約していましたが、コロナ禍では電話すら繋がらない状況が続いていました。また、以前のブログで「医療DX」について私見を述べましたが、編集人の主治医がいる大学病院では昨年から順次各種医療設備等の更新が行われており、既に医療関係者の働き方改革が始動しています。そのほか入院中も免疫チーム(主治医・担当医・研修医など3~5名体制)で治療にあたるため、高い安心感と入院期間の短縮に繋がっていると感じます。ただ、長時間労働対策として労働法上の「高度プロフェッショナル制度」が医師に適用されているかは不明です。
日本では、公的皆保険制度により守られた高給で安定した職業が医師だと言われており、大学入試でも人気・偏差値共に高いのが実態です。ただし、私立大学の医学部は卒業までに数千万円の授業料が必要ですから、その中には本来医師としての適性や医療への情熱が低い人(例えば個人病院の跡取りなど)が含まれていることは否定できません。患者としてできることは、自ら信頼関係が構築できる掛かりつけ専門医を探し出すこと、そして病気を治したいという強い意志を持って正しい治療を続けることだと考えています。