オフィス鴻

希少疾患へのAI技術展開

2023年10月27日

富士フイルムが、専門知識のない医師でも画像診断が相当程度の確率で可能となるAI技術を使った診断機器を開発したとのニュースがありました。その後、日本経済新聞(2023年6月9日版)にてんかん患者の発作や容体悪化をAIで予測するシステムが、京都大学発のスタートアップ企業で2025年度までに治験を終え、実用化段階に入るとの記事が掲載されています。

この技術の優れたところは、約7割の精度で1分以上前に発作を予測できる点にあり、編集人も身体に大きなストレスがかかった時(転倒、接触など)は、薬を飲む間もなく振戦発作(けいれんに似た症状)が起こります。また、屋内や移動中でも発作の5分前くらいから前駆症状がでることが多く、事前に予測ができれば服薬対応(症状が重い時は救急外来での注射)を含めて周囲の方にご迷惑をお掛けしなくて済みます。また、てんかん患者は日本に100万人いると推計されていますが、一定の条件を満たせば自動車の運転も認められています。編集人は、てんかんではありませんが、振戦発作の症状が出てからは危険防止(他人を傷つけたくない)のため、自動車運転は完全に控えています。また、免許更新時もその事実を運転免許試験場の担当官に医師の診断書とともに伝えてあります。

このほか、国立がん研究センターでは意識障害などが一時的に起こる「せん妄」の発生リスクを8割の精度で予測できるAIを開発中だそうです。このようなAI技術がより身近なものになれば、安心して入院を含む日常生活を送ることが比較的容易になるため、患者にとって生活の質が向上(QOL)することが期待できます。編集人の場合、臨床例が100例にも満たない自己免疫介在性疾患のため、事業化を目的とした研究・開発の優先順位は相当低そうですが、少しばかり心が軽くなりました。