看護師の職務範囲
2023年10月22日
編集人は大学病院での入院治療で、医療関係者(医師、看護師)の過重労働を目の当たりにします。看護師の職務内容は多種多様で、いずれも専門性を要しますが職場によりその職務内容は大きく変わり、中にはハラスメント行為を行う患者もいるそうで、厚生労働省は30年ぶりに看護師確保の基本指針を発表しました。また、労働基準法の36協定(時間外勤務)の適用で、病床看護師数が少ないと、コロナ禍もあり入院患者の受け入れ数を制限せざるを得ない現状のようです。
特に、緊急入院・手術を受けられない患者が続出(編集人も4か月の手術待ちを経験)したコロナ禍で、都内の某大学病院で医師・看護師の大量退職があったことは記憶に新しいです。また、イギリスでは診療看護師と言う上級資格があり、患者に処方箋発行も出来るそうです。なお、日本では医師法第20条に無診療治療の禁止が謳われていますが、医師の事前指示の下でできる採血などを先に行うことで、医師の負担解消と専門性の高い看護師技量の向上が、医師でなくても可能な医療行為の範囲(看護師・薬剤師)を増やして報酬増加に結び付けるなどの施策も検討に値すると思います。アメリカでは各地でシステムトラブルによる看護師への給与未払いが発生しているそうで、日本でも今後起こり得るかも知れません。
もちろん、労働力不足は看護師だけに限らず、労働量と報酬に対する企業と労働者それぞれの考え方があるので一概に比較することはできません。特に看護師・薬剤師は、担当する診療科(配属先)によっても労働内容(負荷)に大きな差がありますし、医療現場の最前線を支える使命感に頼りすぎることは「働きがいの搾取」と受け取られても仕方ないのかも知れません。特に看護師という職業は「命を守る責任」の一端を担っているだけでなく、精神面等へのケアなど生産性とは相いれない事情を考えれば、一般的な組織に属する労働者と同じ視点で比較することは無理があるように感じます。