オフィス鴻

移動・間借り飲食業態

2023年11月20日

最近、昼食時間帯を中心に店舗として貸し出す夜間営業専門の飲食店(バー、居酒屋など)が増えています。食器・調理器具等を使用できる場合もあり、借主側は初期投資費用(保証金、厨房器具、店内改装費用など)や家賃が抑制でき、営業日もある程度自由に設定できるため、双方にメリットがある方法だと思います。また、双方のお客様が昼・夜の共通顧客となる可能性や、あるチェーン店では首都圏(特に東京の駅至近物件やオフィス街など)への進出を考えている地方の飲食店に試験的に貸し出す例もあり、今後飲食業以外でも拡がっていく方式(シェアオフィスのようなもの)のように感じます。ただ、普通・定期賃貸借契約では、第三者への転貸禁止条項がある場合や、物件所有者への承諾が必要な場合もあり、万が一の時(火災、備品破損、食中毒など)の補償内容や責任範疇を事前に書面で交わしておくなど、留意すべき点も多いです。

このようなシェア方式以外にも、コロナ禍ではキッチンカーによるテイクアウト方式が盛んになりましたが、まず価格と商品価値(味・珍しさ・短時間調理など)が見合わなければ固定客は付きませんし、出店場所探しや所管保健所への届け出(営業許可証)も必要となります。また、一部の業者が一般道(公共インフラである生活道路等)などに勝手に駐車して営業する無許可出店などは、露天商とは異なり警察は許可しませんので、トラブルになる可能性が高いです。また、マルシェやフェスティバルなどのイベントへの参加は競合が多く、高額な出店料金や天候(雨など)による来客数の減少リスクを想定しておかないと、売切れに対する来場者や主催者側からの苦情だけでなく、売れ残り食材の発生など収益性に大きく影響してきます。

最終的には、「味良し、場所良し、価格良し」に「店主の人柄良し」「お客様の質良し」と言った物件や場所に巡り合えることは非常に稀ですから、普段から不動産屋、同業者、イベント主催者などと良好な関係を築いておき、チャンスを逃さないのがコツだと感じます。