オフィス鴻

カスタマー・ハラスメント

2024年06月27日

以前「お客様は神様です」という言葉がありましたが、現在でも一部の顧客の中には従業員に対して執拗で高圧的な言葉を発し、不当要求・土下座強要などを求める人がいます。これらのカスタマー・ハラスメント行為者は、エスピー・ネットワーク社の調査で特に40~60歳代が8割以上を占めているといいます。日常生活に於ける不満解消、承認・証明欲求、自分は(相手のために)正しいことを言っているとの勝手な思い込み、飲酒などが原因と一部と考えられますが、迷惑行為を受けた側からすれば通常業務に支障をきたし、従業員のメンタル・モチベーションの低下・離職など大きな影響を受けていると思われます。また類似する事例としてモンスタークレーマーやモンスター・ペアレントという言葉も一般的になりましたね。

昨年、カスタマー・ハラスメントに関連して旅館業法が改正され一定条件を付した形で宿泊拒否ができるようになりました。しかしながら、飲食店には該当する法律はなく、あくまでも「契約自由の原則」に基づき口頭であれ双方の契約意思の合致があれば良いというのが現在の法制度です。つまり、特段の告知・理由等が無い限り来店客に対する差別は認めないかわりに、注文を受けた店主(店側)には食事等を提供する義務があると言うことです。ただし、他の来店客への顕著な迷惑行為などがあれば、営業妨害等による損害賠償を求めることも理屈上は可能ですが店側も一見客に対してクレーマーかどうかをその場で判断することは難しいですから、止む無く監視カメラ等で証拠を残すことも選択肢の1つとしてあるでしょう。

なお、多くの飲食店では来店客に楽しい時間と美味しい料理を提供したいと考えているでしょうから、例えば閉店時間間際(風営法、スタッフの人数、食材等)の入店でサービス提供ができないとお断りされることもあり、来店者にも節度を弁えた利用への配慮が必要だと感じますね。