オフィス鴻

コロッケを食べる贅沢

2025年07月19日

読者の皆さんはコロッケに対してどのような印象をお持ちでしょうか?編集人は昭和の高度経済成長期後半に幼少期を過ごしたため、両親が仕事をしていたため親の手伝いをすることが多くありました。特に夕方の買い物では幼い妹の手を引いて近所の商店街で限られた予算内で頼まれた食品を買うのですが、なぜかおでん屋や焼き鳥屋の前に来ると妹が動かなくなるのです。悪気はないとはわかっていても、そこで妹におやつを買ってしまうと後々の買い物について金銭的に不足してしまします。しかし商店主の多くは小学校の同級生などが多く、こどもも店を手伝っていて少しの恥ずかしさから逃げ出したくなるような感じでした。

その中でも魚屋・八百屋ととなりあったところに同級生の親御さんが営む精肉店がありました。ほぼ毎日妹の手を引いて買い物をしているのですから完全に顔なじみです。その店では総菜としてハムカツ・メンチカツ・コロッケなどを販売しており、店の前を通るとラード特有の香りが漂ってきます。値段は覚えていませんがハムカツ類は高く、コロッケは自分の小遣いでも買える金額でした。コロッケといっても茹でたジャガイモをつぶし、ひき肉を炒めたものと合わせてパン粉を付け油であげた素朴なものです。それでも当時は子供心にごちそうだと思っていましたから、新聞紙で作った紙袋のインクのにおいさえ思い出すほどです。

大学入学後は実家を出て1人暮らしを始めたのですが、その部屋の近くに横浜でも有数の規模を誇る昔ながらの商店街がありました。変に思われるかも知れませんが、そこで最初に買ったのがサラミ1本にコンビーフ1缶、そして揚げたてのコロッケでした。食に不自由していたわけではないのですが、1人暮らししたら思う存分食べてみたいものだったのです。その後社会人になってからは有名な洋食店でクリームコロッケなどを頂きましたが、今でも素朴なコロッケを食べると当時のことが思い出されます。これを贅沢と思うのは、やはり幼少期の食生活が影響していると思っています。