パンメーカーでの事故
2024年05月26日
今年2月、製パン業界最大手の山崎製パン千葉工場で従業員がベルトコンベアーに巻き込まれて死亡するという、大変痛ましい事故が起こってしましました。同社では2000年以降に3回もの死亡事故が発生していたようですが、TV業界では多くのCM(広告宣伝費)を流してくれる同社はテレビ業界などでは特別なクライアントですから、報道側に心ならずも忖度している可能性が指摘されています。また、業界全体売り上げの約40%を占め更に神戸屋製パン部門を買収するなど、小売業への影響力も相当強い存在なのでしょう。まして、週に何度かは口にする食品ですから、小林製薬の紅麹問題のように一般人にはわからない問題が顕在化しただけのことかもしれません。
同社のみならず、食品業界では新潟の製菓メーカー(せんべい類)では火災により数名の従業員が命を落としており、いずれも60歳を過ぎた方たちでした。実際、編集人の知る山崎製パンのメイン工場では、30年以上前からほぼ最低賃金でパート従業員募集を頻繁にするなど、詳細は分かりませんが人の出入りが激しい職場との認識があります。また、自社車両での納品がメインでも、協力運送会社に委託される業務は指定納品時間に追われるような案件が多く、同じように頻繁に募集をかけ、ドライバーの転職先である運送会社に対して管理職が理不尽なクレーム(職業選択の自由に抵触)を入れるなど、正直なところ余り良い話は聞こえてきません。
このコラムを書いた目的は、同社に対する誹謗中傷ではなく、食品業界以外でも安全性(人命)に対する良心が徐々に薄れてきて、30年に及ぶ日本のデフレ経済下の副作用の1つが表面化した事象のように感じているからです。日本国憲法で保障された基本的人権も、企業の経済合理性の下では法令遵守を原則行っていれば特段問題にされませんが、それでも医療・交通事故等の分野などでも、客観的に考えても疑問に感じるような他責対応をする加害者が後を絶たないようです。