オフィス鴻

ヒロタの洋菓子

2024年09月02日

編集人の子供のころから好きな食べ物の1つに、シュークリームがあります。最近はシューの食感、クリームとのバランスなどに特徴を持たせた商品が人気ですが、大手菓子チェーンの商品は安くてボリューム感があり、高級菓子店のシュークリームには無い良さがあります。特に、ヒロタのシュークリームと言えば小ぶりで数種類の味が楽しめることから、良く両親に買ってもらった記憶があります。しかし、2001年に民事再生手続きが始まり、現在ではオンラインショップや催事場での販売を中心に行っているそうです。しかし、直近の決算では債務超過に陥っており、再び経営危機に瀕していると言います。最も深刻なのは経営改革が上手く進まずにキャッシュフローがマイナスになったことと、顧客離れでしょう。

定款も変更して新たな食品製造業とフランチャイズ化を進める施策だそうですが、消費者の嗜好変化が顕著な洋菓子業界では百貨店などへの出店も含め専門店の1個100~1千円近い商品と戦うことになり、単なる定番商品販売だけでは、事業収益回復は見込めない時代だと編集人は認識しています。以前は取引先へのお詫びとして虎屋の羊羹が御遣い物として重宝されましたが、高価格帯であるにもかかわらず新商品開発を続けています。のれんの重さを感じられ、かつ伝統的な高級感のある味わいは消費者に支持されています。年に数回、一口サイズの羊羹(1箱14個入り)を5千円程で購入しますが、お茶だけでなくコーヒー・紅茶やアルコールにも合う逸品だと感じます。

また、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LHLV)のブランド戦略を見れば、ブランド価値を高めるために有名ブランドを次々と買収しています。また、顧客の選別化を図りブランド価値が棄損しないように経営していることが判ります。今回のヒロタが選択した施策については、まずキャッシュフローを正常化することが最優先であり、そこに顧客の姿はほとんど感じられません。今後、一時的な業績回復はあったとしても非常に厳しい道のりが続きそうですね。