ユネスコ無形文化遺産
2025年02月28日
昨年12月、ユネスコの無形文化遺産として「日本の伝統的酒造り」が登録されることが決まりました。国税庁長官は「杜氏・蔵人・麹菌という政界に類を見ない日本酒造り」として新たな日本酒のあり方を産業として振興していくとコメントしていましたが、もう一方ではアルコール飲料が身体に悪影響を与えているとの研究結果もあります。世界各地で様々なアルコール飲料が数百年以上前から生産されていますが、日本酒のようにデンプン質を酵母を利用してアルコール発酵させる製法は珍しく、日本ならではの気候風土や先人の知恵によって育まれてきたものと言えるでしょう。その多くは社会的慣習・儀式祭礼等で用いられ神聖性をも持ち合わせていましたが、現代のような大量生産は産業の近代化とともに発展してきました。
実際に編集人が日本酒の酒蔵を訪問すると、一般的な見学コースではまず見られない試験的醸造酒の試飲・酒税法の鑑定スペースなどを見せて頂くことがあります。そして日本酒の製造過程では製造時期(瓶詰・火入れ等)によって荒走りやひやおろしなど、「初しぼり」や「しぼりたて」以外にも季節に合わせた味わいが表現されている点は、日本人の味覚が絶妙に表現されています。その他に特徴的なこととして、酒蔵に長年住みついた菌類(無害です)が醸し出す特有の味わいが挙げられます。最近は新たな酒造りの担い手(多くは東京農大等の醸造学科で学んだ方です)も増え、1合(180㎖)で2~3千円程度の高級品も見られるようになってきました。
このように長年その土地で育まれた文化を守ることには大きな意味があると考えていますが、最近のユネスコでは向け異文化遺産に登録されることが優先されている風潮があります。一種の「箔をつける」効果は大きいと思われますが、それ以上に特有の文化であることを守り継ぐことが大切なように感じます。産業革命以降に減少傾向を辿った日本の造り酒屋は既に1千件程しかなく、いつの日にか復活する日が来ることを期待しています。