オフィス鴻

土用の丑の日

2025年07月18日

日本人にとってなじみ深い土用の丑の日は、江戸時代に様々な分野に造詣のあった平賀源内がマーケティング戦略として普及させたという説が良く知られています。2025年の土用の丑の日は7月19日と同31日の2回ですが、例年この時期になると1つの風物詩としてTV等でも報道されるくらい有名です。しかし近年はうなぎの稚魚が不漁で中国産への安全性懸念・世界的需要増など から非常に高価な食べ物になりました。高級な店に行けばうな重が6千円という価格も普通になりつつあり、ここにお酒と肴を注文すれば大凡1万円程度という出費は覚悟しなければならないでしょう。一方で中国産を使いワンオペに近い店舗では1千円台のお店もあります。

しかし今年は例年と比較してシラスウナギ(ウナギの稚魚)が豊漁と言う報道も見られますが、実際に出荷に至るまでの時間・飼料等コスト上昇などを鑑みればすぐに値段が下がると考えるのは少し尚早かも知れません。また50年以上前の漁獲量と比較すれば近年はその100分の1(1%)程度ですから、流通経路などを考えれば一旦値上げが定着したうなぎ食はそう簡単には値下がりしないと思われます。ただし日本に根付いた食文化ですから、令和の米騒動と同様に高くても需要が無くなることは実際には起こらないと考えられています。結果として年数回食べていたうなぎを食する機会が減少していくことになるのでしょうね。

余談になりますが、うなぎの旬は晩秋から初冬にかけてと言われています。他の魚介類同様にうなぎにとって夏場は総じて味が落ちる時期であり、秋にかけて徐々に産卵のため美味しくなるからです。なぜ夏場にうなぎを食する習慣が定着したのかと言えば、恐らく夏バテ対策として豊富なビタミン類・タンパク質などの栄養素が含まれていることが大きいと考えられます。また飲食店にとっても、需要集中や閑散期対策として土用の丑の日は経営的にうまみがある訳です。持ちつ持たれつということでしょう。