学校給食と病院食
2025年08月17日
学校給食・食堂運営に関連事業者の倒産が全国各地で増加しています。直接的な原因は給食・食堂運営を外部委託するケースが増え、大手の飲食チェーンや宅配事業者などの参入によって既存業者との価格競争激化にあるとも言われています。その背景には入札制度が採算悪化による形骸化が進んでいること、1社入札等で結果的に随意契約(概ね3~5年)にせざるを得ないことなどが挙げられています。編集人の住む地域でも市長選の公約に学校給食の導入が争点の1つになっていましたが、最近の夫婦共働きの傾向を考えれば毎朝弁当をこどもにもたせることが大きな家事負担になっている方も多いのでしょう。
もう1つ給食に対する世代間認識の問題があると考えています。編集人の通っていた小学校では構内に給食室があり、そこで調理されたものが給食として配膳されていました。しかし時代の変遷とともに行政効率化(人件費削減)の流れが加速して、1ヶ所で製造してトラックで各学校に配達するセントラルキッチン方式が広まりました。そこには給食事業者は過剰な価格競争にさらされ「安くて当たり前」といった風潮があることも見逃せません。さらに近年は食材費・人件費・燃料費等が高騰しており、本来ならば給食費の値上げが必要であるにもかかわらず保護者らの理解も得られにくいという構造があり、単なる価格競争で業者を選ぶ傾向が根底にありそうです。
同じような業態に病院食が挙げられます。一昔前まではとても食欲をそそるようなものではなかった病院食も、最近は多くの病院で改善していると思っています。病院食は一般入院患者の費用負担(健康保険対象外)は1食当たり510円(2025年4月に改定)で、病院にいる栄養士・管理栄養士の方が医師の指示の下で献立を考えてくれます。編集人も入院中に摂取栄養量が少ない時が多いため、管理栄養士の方が食べやすい食品へと変更してくれることも多々あります。また追加料金を支払えば料理の選択肢が拡げられる病院もあります。食事も治療と考えれば結果的に医療費削減にもつながるように思います。