完全栄養食と手料理
2024年07月20日
完全栄養食とは、厚生労働省が定める33栄養素を効率的に栄養を摂取できる主食のことを指します。栄養食自体は以前から病院食などとして提供されてきましたが、既成製品に必要な栄養素を加えることで、1日(1食)あたりの必要量を摂取することができます。例えば、2010年頃からは1日に300g以上の野菜を取る代わりに野菜系飲料が栄養補助食品として発展してきたように、最近ではカップ麺(「完全メシ」と命名されました)でも完全栄養食を謳う商品が発売されました。特に時間効率(タイパ)を重視する方や、ダイエット目的で購入する方が多いようですが、有識者の中には誤った摂取で体調を崩すことがあると警鐘を鳴らすなど、まだまだクリアすべき課題も多いのが実情のようです。
一方で、完全栄養食だけを食べていれば健康を維持できる訳ではないようで、やはり季節の食材を使った栄養バランスの取れた食事が人間の体にとっては最も良質なものだと感じます。特に和食はユネスコ無形文化遺産に平成25年に登録され、世界中に日本食の良さが伝わるようになりました。現在では共稼ぎ家庭も増え男性の育休も始まりましたが、やはり「食育」という言葉もあるように、大切な命を頂く感謝の言葉「いただきます」から始まる日本の食文化は素晴らしいと思います。また、手料理(レトルト食品も、少し手を加えれば立派な一品です)があると、自然と家族の会話(経験上、反抗期の子供がいても一緒に食事するだけで思いが伝わることもあります)が進むこともあります。
味の素社、ベースフード社、オルビス社などが研究開発を進めていて、恐らく宇宙飛行士の食事にも完全栄養食が使われていると思われます。この分野へは、食品製造会社だけでなく様々な企業が参入することが可能ですから、今後ラインナップが増え手頃な価格になれば通販だけでなく大規模小売店やコンビニ等で専用シェルフ(棚)が出来るのも時間の問題でしょう。一つだけ心配なのは、公的な定義がないため品質面でのトラブルだと考えています。