オフィス鴻

新札発行とキャッシュレス

2024年07月19日

今年7月から、日本銀行券(紙幣)が刷新されました。その目的は最新の偽造防止技術と造幣局職員の技術継承が主だと言われます。一方、現金を扱うことの多い飲食店では人件費削減や現金管理の煩わしさから、自動券売機設置やキャッシュレス決済を進めている店舗も多くなりました。以前から、飲食店に対するクレジットカード等手数料は3~5%と言われていましたが、最近の競争激化で2~3%にまで低下しているそうです。しかし、飲食店舗側としては入金サイトや仕入れ資金面などから現金決済を続ける店舗も未だに多いのが実情で、一般店舗でもランチタイムは現金のみとする事業者(カード会社の規約違反ですが、安くて美味しいならと協力しています)もあります。

一方で、消費税導入・変更の時とも良く似ているのですが、キャッシュディスペンサー、ATM、レジスターなどの改修・入れ替えなどで数十~百万円近い費用が掛かるとも言われています。また、機器製造会社にとって特需であることに違いはありませんが、既に現行紙幣の未使用券は6月時点で大手銀行では在庫が無くなったそうです。他のお客様が使用していないお釣りを未使用券にしてサービスの一環としていた友人の店舗では、新旧の券種が増えることでレジスターのスペース不足に悩まされそうだと話していました。

また、九州地方のある路線バス事業者は機器交換費用が多額になるとして地元発行のカード(首都圏ではSuicaやPASMOに該当するもの)以外は使えなくなる、地方では現金では乗車できない路線バスが国土交通省から認められるなど、日本人の生活に馴染んでいた現金主義も徐々に新技術によって変わり始めています。その他、タンス預金(一説には50兆円あるとも言われています)が使えなくなるといった新手の詐欺事件も起こっていますが、日本経済を廻す原動力とするには株式・不動産を持たない層にも恩恵が感じられるような施策も必要だと感じます。