オフィス鴻

日本菓子の評価

2024年09月04日

先日、とあるテレビ番組で日本各地のお菓子10種類をアメリカ・イタリア・タイの現地の方に食べ比べしてもらう企画がありました。建前上、1種類ごとに食べた感想と点数をつけて頂くのですが、ここでは敢えて点数や順位については触れないでおくことにします。なぜこの話題を取り上げたかと言えば、1つは菓子製造に携わる日本人特有の拘りや探求心が感じられたこと、もう1つは先述の3つの国で日本人では気づかないもっと美味しい食べ方が紹介されていたことにあります。食文化と言う言葉があるように、その土地ならではの食材(原材料)・水・土壌などで、同じ製法をもってしても商品自体を差別化することが出来ます。

番組の中で、試食した人々が良くコメントしていたのは、事前に予測していた味・食感と異なっていること(例えば、麺類はしょっぱい感じが基本であるとの擦り込み、素朴さに少しアレンジを加えると全く異なる良さが引き出されることなど)でした。吉野の葛切りは海外の方にとっては黒蜜で甘く味付けする(甘味ですから日本人には普通です)ことが麺類として違和感があったようでした。また、外郎(ういろう)などの少し柔らかくて口に残る食感は好まれていませんでした。ただし、同じ外郎でもマンゴーを練り込んだものは好評価であったり、せんべいをカナッペ風にするとこれまで気づかなかった新たな魅力を感じる食べ物(もはや菓子ではなかったです)に感じられるなどです。作り手にとって普段から伝統を守っていくことは非常に大切ですが、新たな日本の魅力を海外の方の食生活習慣に合わせて研究開発することもマーケットを拡大する視点では重要だと思います。

ここに、最近業績の良い日本企業(円安効果による好業績分は除く)の多くが、顧客視点を持ち合わせている方向性が強いこととの共通項があることを考えるに至りました。もちろん、業種によって販売方法や戦略・戦術は異なりますが、まさしく事業改革に相当するような教えを受けた番組であったと考えています。