日本酒製造免許
2025年07月19日
日本には護送船団方式とも揶揄される岩盤のような規制が数多く存在します。国税庁の発表している資料では現在日本の造り酒屋は約1,000軒とピーク時の20%にまで減少していると言います。その背景には多種類のアルコール飲料が販売されていることや嗜好の多様性が進んでいることなどがありますが、最近は世界的な日本酒ブームの影響で輸出金額は年間500億円に迫る勢いです。これまで酒税法改正は何度も行われてきましたが、実際には新規参入者には酒造免許を発行できないような仕組みで、その根本にある考え方は需給均衡の維持ですから日本酒の国内消費量が減少すれば自ずと新規免許を取得することは困難と言わざるを得ない状況に思われます。
編集人は地方で療養・入院する時には少し時間を使って地元の酒蔵(ワイン・ウィスキー・焼酎などを含みます)を訪ねることが多く、そこにはこんなにもたくさんのアルコール飲料が生産され、研究熱心さなどを肌で感じることが出来ます。しかし業界団体が自ら行動を起こして新たな製造者を歓迎しているという話は聞いたことがありません。編集人の知っている中小規模の酒蔵も大きな負債・後継者不足等によりいくつも廃業していくのを見てきました。また日本の酒税は国家財政の一翼を担うほどでタバコと並んで貴重な財源となっています。
例えばビール製造業界では「第三のビール」と呼ばれた酒税法に抵触しない税金の安い飲料を開発してきましたが、酒税法改正でピーク販売時の半分ほどにまで製造量が減少していると言われています。最近はクラフトビールや地ビールが人気を博しており、またM&Aによる事業承継方式で負債ごと引き継いででも事業免許を手に入れる事業者もいるそうです。その他にも蔵元の空きタンクを活用したという少し抜け道的な手法を活用する例も増加しているといわれます。しかし消費量減少は人口減少とも関連していますので、重要な日本文化の1つである無形文化遺産を守るためにも一旦利権と切り離して施策を検討してもらいたいと考えます。