オフィス鴻

神戸フレンチ

2025年07月17日

編集人は40歳代の時、ある企業再生に関わり大阪市内に家族とともに引越していた時期があります。勤務先は新大阪駅から程近くにありましたが、仕事が終わると関東と関西の食文化の違いを自分の眼と舌で確かめるため週2~3回くらい地元の飲食店にお伺いしていました。お店の選び方も気ままに街中を散歩しながら気になるお店に一見客として入ることが殆どで、特段料理ジャンルなどへのこだわりは無かったと記憶しています。しかし気に入ったお店に何度か足を運ぶとお店の方が顔お覚えていてくださり、関東とはまた別物の接客をしてくださいました。どちらが好きとかは全く関係なくいられるくらい居心地の良さを感じたものです。

さて大阪からタクシーで30~40分くらいの距離に神戸があります。編集人は横浜に長く住んでいたこともあり、同じ港町や外国人居住が多い神戸の中でも比較的坂の先にある飲食店に行くことが多くありました。三宮駅周辺には多くの飲食店がありますが何となく雰囲気が東京と似ていてあまり興味が湧かず、少し離れたところにあるレストランやBARは特有の気高さのようなものを感じていたからです。実際に神戸には有名なフレンチレストランがいくつもあり、神戸牛や瀬戸内海で採れる魚介類などを使って日本風とは言わないまでも地元の食文化を大切にしていたように思います。

もちろんフランス料理を毎日食べていた訳ではありませんが、神戸を取り巻く気候風土の多様性は訪れる者の感性を最大限に引き立たせてくれます。バターソースを多用する従来のフランス料理に比べて、素材を活かした身体に優しい日本のフレンチと言った感覚でしょうか。実は1995年に阪神淡路大震災が起きた日東京~大阪へと出張予定が入っていましたが、本当は前泊して飲食店を巡る予定でした。記憶の中には神戸の街が炎につつまれている光景が今でも脳裏をよぎります。そういった背景もあり、編集人にとって神戸は特別の場所なのです。