飲食業と立地条件
2025年07月17日
飲食業を始めるにあたってどうしても通らなければならない大きな壁は物件を選ぶことだと言われています。あくまでも一般論になりますが自家所有物件で開店できることは非常に恵まれている一方で、その店舗運営のコンセプトが決まらないと結果的に当初の目論見とは大きな差異が出てしまうこともまた1つの事実と言えます。もう少し掘り下げていえばマーケティング・ブランディング戦略が描けていなければ、飲食店経営において必要な経営資源を適切に配分することが難しいと言うことです。例えば賃借料(家賃)・駅近・面積・階数・競合の有無・価格設定・居抜き・人材確保など以外にも、家主の指定工事業者を使わなければ賃貸借契約が締結できない場合もあります。
実際に希望に合った物件が見つかったとしても、ターゲット顧客層に関する調査結果が思わしくなければ候補物件から外す勇気も必要です。また実際に内見した時には気分がハイになりがちで、いざ開店となるまで時間帯や曜日によって気付かなかった顧客の流れなどが表面化することもあります。これは飲食店経営に限らず小売業や物流業などでも頻繁に起こりえることであり、一旦賃貸借契約を結んでしまえば少なくとも契約期間内に撤退するには違約金がいることや固定費を払い続ける必要に迫られます。そのため最近は軽自動車等を使った移動販売を始める方もいますが、既に良い立地は飽和状態になっています。
結論的な話になりますが、このような地道な作業を基にして資金繰りを含む事業計画をしっかり作成することが重要となってきます。実際に編集人がアドバイスをしている飲食店の中にはトライ・アンド・エラーを短期で繰り返しながらブラッシュアップを図ることで業績を伸ばしているところも存在します。編集人の立場は飲食業経営者を尊重しつつ経営サポートすることですが、見極めのタイミングを間違えると立地条件以前の課題が顕在化してくることがあります。結局は経営者の物事の真実を見極める力量・器次第だと考えています。