オフィス鴻

飲食FC経営のリスク

2024年05月24日

ちょうど1年程前、当コラムにて高級食パン店や空揚げ専門店の閉店が急速に進んでいることに触れました。もともと両業態に共通しているのは、少ない資本でも始めやすく、広い敷地面積や高くて特殊な調理技術が必要ない上に、特に唐揚B級グルメの定番でコンビニ・スーパー等でも買える、そのままお弁当に入れることができる冷凍食品開発・販売などで、ブランド化による差別化が難しく価格面・商品訴求性での競争力も決して高くないため一時的なブームで終焉する可能性が高かったと言えます。

また、資本力の乏しい中小企業や個人事業主が商品に対する愛着・知識が無くてもフランチャイズ加盟で原材料や店舗内厨房設備を容易に揃えることができるため「何とかなる」との思いで出店したところに、中・内食需要の減少が淘汰を早めた気がします。また、唐揚げ以外の商品がラインナップされていないことが殆どで、商店街の肉屋・惣菜店・弁当店の専門性と付加価値がロイヤルカスタマーを獲得しているのに比べて、デリバリー機能以外では太刀打ちできなかったのだと考えています。このことは、同じように高級食パンブーム(食パンは主食用パンの略称)の終焉によりフランチャイズ店主が本部を相手取り訴訟を起こしていることからも、個人オーナー等が安易に参入できることが経営リスクの高さ(ギャンブル性やねずみ講によく似ています)に関係するのを十分理解できずに、短期的な収益を求めた結果と言えるでしょう。

まお、運送事業でもラスト・ワンマイルを担う個人事業主が規模拡大による車両調達(一時期、半導体不足により新車・中古軽貨物車両価格が高騰していました)を図るケースがありますが、過重労働による人手不足、燃料費・車両費高騰などで自己破産も増加しています。因みにアメリカでは今年3月から労働者の基本的権利として請負事業者として搾取されるギグワーカーの従業員化を一定条件を付して義務化しました。今後、日本でも既に複数の法理がでていることから今年中には何らかの動きがでてくると思われます。