BYAF法を活用する
2023年07月14日
アメリカの心理学者クリストファー・カーペンター氏の研究にBYAF(But You Are Free)法があります。これは相手の意思(相手の自律性を活用する話し方)に対して、「あなたの自由」「あなたが自分で決めたこと」と認識してもらうことで、一種の自己責任(ビジネスでのコミットメントに似ています)として能動的に行動するよう促す手法です。編集人は、このBYAF法を知る以前から、偶々ですが「最後は自分で決めてくださいね」という部分と、「部員の行動目標を可視化して、良い行動・結果に対してはその場で肯定(褒める)」する部分はBYAF法と共通したマネジメント手法を用いて、目標設定・評価・フィードバックを行っていた時期がありました。
研究結果では、自律的・能動的なコミットに対して「自分で決めた」という意識があると、人間は繰り返しその行動をしてくれると言われています。例えば、寄付行為で声かけの最後に「寄付するのもしないのもあなたの自由です」と話すと、約50%(普通は10%程度)の方が賛同してくれたそうです。つまり、他人から強制されるのではなく、自分で決めたことに対する行動意識が強くなるため、最後に一言「But You Are Free」を付け加えるだけで効果があるという人間の心理を上手く活用した例でしょう。
また、目標設定やプロジェクトへ活用する場合には、まずは自分自身を含めて「数値・事実に裏打ちされた、とるべきアクションのタスク化」が必要ですが、ここを理解している管理職が意外なほど少ないと感じます。つまり、人事評価や業務に対する不満も元をたどれば、この最初の1歩目と適宜・適切なフィードバックが一致していない場合に起きやすいと考えています。さらに、逆説的な論理思考になりますが、管理職に好意的な評価(基準を変えてはいけない)や感謝の気持ちが多いほど、人の感情を大きく動かすバイアスとなり、組織に一体感が生まれやすい仕事環境が作り出せると思っています。