郵政民営化と信書事業
2023年10月12日
あるベンチャー企業が山間部や災害時の孤立集落への救援物資輸送ができる最大50kgの貨物を最長50km運ぶことができる大型ドローンを「空飛ぶ軽トラック」として、2030年までに開発・実稼働させるとの報道があり、昨年6月にはこれまで競合関係にあった日本郵政グループとヤマト運輸グループが「持続可能な物流サービスの推進に向けた基本合意」を発表しました。
また、旧三公社五現業(電電公社・日本国有鉄道・日本専売公社、郵便・国有林野・印刷・造幣・アルコール専売)の1つである郵便事業(1947年郵便法制定)は、日本全国に同一料金で通常郵便物(手紙、はがき等)を届けるかわりに、小泉内閣による郵政民営化が行われるまで、さまざまな参入障壁で守られていました。例えば、特定郵便局(採用は事実上の公務員職の縁故採用のみ)は利権の1つです。またヤマト運輸の「クロネコDM便」を廃止することで、1997年からはがきなどの「信書」の扱いを巡る日本郵便との対立に事実上の幕が下ろされた形となりました。その結果、ヤマト運輸が取り扱うクロネコDM便のサービスは2024年1月で終了、同じく小型薄物荷物領域の「ネコボス」は2023年10月から順次終了となり、日本郵便の引受地域区分局経由で届けられるようになります。
また、総務省は2020年の「郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の一部を改正する法律案」により、通常郵便物(手紙、はがき等)の配達頻度や送達日数に係る見直し等が行われ、原則土曜日の配達(荷物を除く)は廃止されました。年賀状で採算を維持してきた郵便事業も減少傾向にあり、人手不足の影響もさることながら、宅配大手3社の再配達率は11%(年間6万人分の労働力に相当、国土交通省調べ)に上り、最近は置き配や宅配ボックス以外でも花き店(花屋)、牛乳配達店、新聞配達店、ペットショップなどに少量の配達を委託するなど、これまでと異なる委託先も増えているそうです。