オフィス鴻

イノベーション人材の採用

2023年12月16日

社会的存在意義を明確にした企業理念を掲げ、それに共感できる人材採用と労働環境の提供は、仕事の意義(働くことへの執念に似たもの)を重要視する優秀な人材を集める合理的な方法だと感じます。当然、昨今の労働行政による「働き方改革」が錦の御旗であったとしても、労働時間以外は個人の裁量の範疇であり、個人差はありますが時間の使い方を含め体力面・能力面が最も発揮できる20~40歳くらいまでに、たくさんの経験(もちろん失敗も貴重な財産です)から得られるインプット・アウトプットの量がその後の仕事や人間性に奥行をもたらすことは、十分に考えられます。

さて、編集人が想う新しいアイデア・事業を生むためのイノベーション人材採用とは、対極にあるオペレーション型採用(既存事業・業務に人をあてはめた、必要な知識・経験・スキル重視のスペック採用)と大きく異なり、企業価値が有形資産から無形資産へとシフトしていく創造性IT社会との相関性が高い点にあると考えています。例えば、カルチャーフィットを重視するスタートアップ企業で求められる人材像と、新たな創造価値や事業構造改革を進めたい企業で求められる人材像とは明らかに優先される項目は違うものの、ミッションやバリューへの共感と言う点では共通しています。その理由は、いずれの人材も経営に近いポジション(肩書や権限とは少し違います)で比較的広範な仕事に携われることが、その企業で自分自身を表現できることを楽しむ、いわば舞台演出のような創造的世界で仕事ができることだと思うからです。

もし、経営層から見て優秀な人から辞めていくことが常態化している企業ならば、辞めないように他者から見て説明のつかない特別待遇を与えることは一時的な効果であり、採用担当者や幹部層へ今一度企業理念などの企業運営の核となる部分を共有・理解することから始め、採用業務自体をルーチン業務化しない工夫が必要だと感じます。