オフィス鴻

運転手不足の解決策(1)

2023年03月07日

平成初期には運転手を「雲助(江戸時代の運送人足)」と呼ぶ物流関係者もいたくらい、運転手の仕事は、3K(きつい、汚い、危険)に、帰れない(長時間労働)、(安い)給料の2Kを加えた5K職場の代表格と言われてきました。また、運送事業の重要性は生活物資供給網の寸断(大雪)等で多少認識されましたが、表題の解決策について、業界・経営者・従業員の観点から、それぞれの立場で考えてみたいと思います。

まず、国土交通省の諸統計では運転関連職務に従事する人は約180万人、そのうちトラック運転手は80万人(平均年齢48歳前後)と言われています。また、旅客運送(タクシー)は低稼働率の短時間勤務者(年金受給者)を含めると、平均年齢は優に60歳を超えてるようです。最近では予約配車システム(GO TAXI等)とスマホ決済が整備されつつあり、全国に拡がりを見せていますが、予約料(300円前後)、優良運転手指名料(150円)が追加売上となり、加盟会社では売上・乗車率ともに増加しているそうですが、乗務員不足による未稼働営業車両を抱える事業者も多く、乗務員の賃金上昇にどの程度反映されているかは不明です。

しかしトラック運送業界では、未だに伝票(紙ベースの指示書を含む)主体の配車が旧態依然と行われている企業も多くあります。また、先般の公正取引委員会の社名公表の動きを注視(強制力に乏しい)しながらも、業界全体での更なる工夫・努力と、消費者の意識変化が必要だと感じます。例えば荷主側の出荷・納品システムと運送業務を連携させる汎用性を持たせた共通プラットフォームの導入が可能になれば、利用運送業者による中抜き行為(アメリカでは原則禁止)をコントロールできる可能性もあり、運送業務全体を俯瞰した業務改善・効率化・高度化・収益化等の推進力にになるでしょう。