ブルシット・ジョブ
2023年12月13日
ChatGPTの誕生後、ブルシット・ジョブと言う言葉を耳にする機会が増えました。アメリカの人類学者デヴィッド・グレーバー教授の著書「ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論」で提唱した概念ですが、「完璧に無意味で、不必要で、有害な有償雇用」をブルシット・ジョブと呼ぶそうです。大まかに、報酬面などで割りに合わずとも誰かに価値を提供できて意味のある「シット・ジョブ」、無意味で割に合うけど周囲に対する取り繕いが必要な「ブルシット・ジョブ」があります。現在の日本企業全体に覆いかぶさる低生産性の原因には、どんなに意味ある仕事のように取り繕っても正当化できない「どうでもいい仕事」をしている限り、改善は進まず心や精神を病むことがあるかも知れません。
また、なぜブルシット・ジョブに苛まれながらも、離れられない人がこんなにも多いのかという疑問は、生活を営むための仕事がなくなることへの恐怖心が、昨今の「やりがい」や「働き甲斐」といわれる自己肯定感に勝るという自己矛盾と関係があるように思います。なぜなら、周囲と異なる行動をとることは、組織の中では非常に勇気がいることで、例えばユニバーサルベーシックインカム(Universal Basic Income)として、全ての個人に国が最低限の生活を送るのに必要な所得を国が保障する制度があれば、生きるために稼ぐ必要がなく「稼ぐための仕事」から「本当にしたい活動」に時間を使えますし、社会的課題へのチャレンジや「楽しさ、幸せ」のような心の豊かさを届ける文化的創造活動に結び付くかもしれませんが、確実に成功するという保証はありません。また、日本では社会全体に「不公平感」や「罪悪感」という見えない壁が立ちはだかるため、日本型のベーシック・インカム(生活保護制度など)はモラル・ハラスメントや精神的暴力に繋がりやすい側面があるとも感じています。
在宅勤務で生産性を上げるための仕事の最適な組み合わせや、会議の効率化など、仕事について今一度ご自身の周りを見渡しては如何でしょうか。