自分は変われるのか(仕事の心得)
2023年07月25日
「己を知る」という言葉があります。内省を繰り返して意識を改革していくことで自分をより深く知ることができれば、相手の長所や弱点も見えてくるという意味だと考えています。また、類義表現に「身の程(丈)を知る」がありますが、いずれも己を知ることで自分の行動や思考だけでなく、相手のことも同時に理解することが大切であることを指すのだと思っています。特に、自分の弱さを認めることは大変難しく、ましてありのままの自分の姿をさらけだすことには大きな抵抗が伴いますが、自分と相手との意識改革を進める上で最も危険なのは、お互いが疑心暗鬼に陥ると組織や信頼関係を破壊することではないのでしょうか。
編集人は、組織の中で仕事をしているときに「自分を庇う自分」と「相手に不満を抱く自分」がいることに気づくことがあります。以前は、短期的に成果を求められ大きなプレッシャーと向き合っているときなど、相手の行動や思うようなアウトプットが出て来ないことに無性にイラつくことがありました。しかし、よく考えてみると相手を伴走する仲間として認識しなければ、出来ない理由や論理的矛盾を突いて相手を追い詰めても状況は一向に好転しませんし、心に余裕がないときは自分が無意識のうちに話す言葉や行動がマイナスの面を持つナイフにもなりうることに気付けるようになりました。
古代ギリシアには「Know thyself(汝自身を知れ)」、孫子では「彼を知り己を知れば百戦してあやうからず」という格言があります。人間には贔屓目や欲があり、自分を客観的、等身大に見ることは難しいのですが、本当に耳の痛い諌言を口にしてくれる諌言役がいたり、社会やビジネスの現場の厳しい現実(実力不足など)に突き当たることで今の本当の自分の姿が把握できるのだと、古来から世界各地で言い伝えられてきたのだと感じます。