コストコ時給1,500円が意味するもの
2023年08月08日
会員制小売りチェーン(20年前に日本進出)のコストコが、群馬県新店舗時給1,500円での募集に、応募者が殺到したとの報道がありました。HPを見ると、店舗ごとに土日(他応募要項では年末年始・GW・お盆なども含まれるようです)出勤可能、週20~30時間以上(扶養控除枠超えは自己責任)、研修期間中(90日)は別時給など若干異なりますが、その後は実労働時間(=経験値)に応じて1,000時間勤務ごとに20~64円(店舗で異なる)の時給UPがあり最大2,000円までの昇給が可能だそうです。世界的に見れば、正社員と非正規雇用の待遇差がない時給換算の同一労働同一賃金方式が主流で、アメリカのトラックドライバーの賃金も同じ考え方(走行距離、時間等)であることをこのブログでも紹介しました。
また、最低賃金が低い地方では相対的に地元企業との賃金差が拡がる点が懸念されますが、本年10月から最低賃金が全国平均で1,000円を超えること、外資系の某コーヒーチェーンは時給に関わらず応募者が多いのに対して、時給を多少上げても人手不足が解消されない飲食業・小売業などが多いことを鑑みれば、「職場の魅力度」が平均的賃金<コストコ(高賃金)と言う形で表面化したに過ぎないように思います。
編集人は、直販中心のコストコが日本企業の中間流通における効率化の遅れ、悪しき面での商慣習の弊害、ホワイトカラーの生産性の低さなどが、労働者への配分がないことを日本人が受け容れてきた30年間の総括と社会構造変化のきっかけになる出来事だと考えています。日本の小売業の一般管理費、商品の販売利益ともに20%前後と言われていて、コストコの販売管理費(会計基準は異なります)は10%を下回っており、賃金上昇に対する企業の体力差は歴然としていると感じます。