オフィス鴻

新鮮な野菜・果物の流通

2023年08月22日

JA全農は、産地・消費地に中継拠点としてSP(ストップポイント)の運用を開始し、共同輸送方式で青果物少量輸送の効率化を図っています。主な消費地は首都圏市場ですが、「手積」から「パレット輸送への移行」実験では荷役時間を7割削減(通常大型トラックの手卸時間は1時間程度)、インターネットでの来場日時予約システムを導入するなど、運送2024年問題に向けた取り組みが始まっています。編集人も築地市場(現在の豊洲市場の状況は知りません)で3年程アルバイトをしましたが、入荷する野菜・果物の種類が多く、卸場所も1台のトラックが荷卸ししている間は、既に荷卸しを終えたトラックが出場できないほど狭い通路でした。

共同輸送のメリットは納品車両台数の削減に繋がりますが、積んでいる野菜・果物の種類が多ければ、それぞれ専用に指定された場所まで市場関係者が運ぶことになります。また、首都圏の市場には、全国各地から様々な青果物が集まるだけでなく、海外からの輸入品も搬入されますので荷卸時間の短縮は単純ではないように思います。その中でも、九州・四国産(高知)のものは、他エリアより運行日数が1日多いことに加えて、天候による収穫量の変動と市場価格を参考に出荷市場を決めるため、長距離ドライバーは他業務のドライバーより身体的・精神的負担は大きいと感じます。

普段の食卓に上る野菜・果物のうち、九州・四国産の茄子・ピーマン・イチゴなどは長距離輸送トラックに支えられえている面があり、鮮度との戦いでもあります。これまでは、宅配物流クライシスに焦点が当たっていましたが、地方(九州・四国・東北)で収穫された野菜・果実を運べる運送会社(トラック台数)が減少することは、すなわち都会で生活する人に食品が届かないこととほぼ同意であり、本当に問題になるのは宅配よりもはるかに大きな影響が懸念される長距離トラック便だと考えています。