オフィス鴻

酷暑と観光産業

2023年11月20日

8月にハワイのマウイ島で発生した山火事は不幸にもハリケーンと重なり市街地や海岸沿いの施設を急速に焼き尽くし、100名以上の犠牲者、歴史的建造物が多く立ち並ぶラハイナ地区にも大変な被害をもたらしました。その前月の7月にはギリシャのロードス島で山火事が11日間続き、イタリア・アルジェリアなどの地中海沿岸諸国で12万人が避難、WMO(世界気象機関)によれば世界の気温は各地で12年万年ぶりに過去最高となり、国連のグテレス事務総長が最近の気候変動は「地球沸騰化」と表現するほどの猛暑が続いています。また、農業・サービス業・建築業などでは外での労働が出来なくなる可能性にも言及しており、ILO(国際労働機関)の試算では経済損失が2.4兆ドルに上るとの分析しています。

コロナ禍から回復途上にあった観光産業でも旅行者行動に変化が生じる可能性が指摘されており、今後は猛暑の南欧中心のバカンスから涼しい地域や時期へと変化していくかもしれません。日本でも、台風の勢力が増したり線状降水帯による豪雨水害が後を絶ちません。また、お盆休みは沖縄から中部地方にかけて台風6号・7号の連続直撃を受け、交通機関や宿泊業、海の家などに大きな影響が出ました。編集人も、原則自宅内待機と水分補給を主治医から厳命されており、終日冷房をつけるなどの対策を余儀なくされていて、ヒートアイランド現象の一因になってることに心が痛みます。

このような状況から、アメリカのスタートアップ企業では気候予測技術を用いた「酷暑保険(正式名称は不明)」の販売に乗り出し、休暇が損なわれた場合(長雨、降雪なし、42℃を超える猛暑など)に適用するとのことです。ここ数年の自然災害は人間自らが排出したCO2が原因の災害とはいえ、食料供給絶対量の不足などが起きれば価格高騰は避けられないように感じます。それでも、特効薬のような解決策がない以上、いま1人1人ができることを愚直に実行する以外に方法はないと思います。