オフィス鴻

ライドシェアとタクシー業界(1)

2023年11月28日

編集人の居住地域(首都圏の政令指定都市)で、AIオンデマンド交通の実証実験が行われています。タクシー配車が難しい時間(雨、土日の夕方、早朝予約など)と重なる可能性も高く、対象エリアの狭さ、指定乗場までの移動、予約可能時間など、1回300円の有償旅客運送の利便性の面では、タクシー車両数の多さから利用頻度は収益化に繋がるほど高くないと考えています。

元々は、スマートフォンでの有料移動サービスからスタートしたUber社が先駆けでしたが、現在は国土交通省の許認可が得られず、飲食店向け配達サービス提供に留まっています。一方、タクシー業界では、深刻な乗務員不足と不稼働車両増加による収益悪化が更に拡大する可能性がありますが、シーズン性の高い地方の観光地は元々認可車両台数が少ないうえ、利用者減・低賃金や高齢化・乗務員不足などから賛成するタクシー事業者も存在します。SNSでの情報発信、オーバーツーリズムも重なり、京都のように地元居住者の日常生活への影響もあり、道路混雑とツーリストの大きな荷物などの課題から行政側を含めて一定の規制も検討されているようです。

一時期、中国人による羽田・成田空港を中心とした「白タク」行為が問題視され、現在でも行われている可能性は否定できません。コロナ禍で飲食業と違い支援対象とならずに離職者が増加したタクシー業界に対して、どのような法整備により、利用者の安全確保(犯罪の抑止、事故時の補償など)、有償旅客輸送業界(タクシー、バス)との棲み分け、日本の交通弱者(運転免許返納者、老人、障害者、病人、子供連れだけとは限りません)のことを考えた施策実行が必要でしょう。さらに、タクシー運転手には自分の努力で月額50万円以上の報酬を得ている方も多くいるのも事実であり、従業員の努力次第では正しく報われる決して稼げない業界ではないと思います。