オフィス鴻

物流スタートアップ企業

2024年01月05日

前勤務先の経営者は「長年続く事業は、薄利でもビジネスが成立する」と発言されていました。編集人も結果的に40年近くのうち、殆どを人事・経営・企画(システムを含む)関連領域と、ロジスティクス(物流)部門兼務の中、ロジスティクス+IT化が主流の中で、多くの視点から事業を俯瞰する機会に恵まれてきたことに感謝しています。また、退職以降も企業経営者・知人・海外法人等から様々な案件・オファーを頂いており、「少しは世の中の役に立てているのかな」と自身の存在価値が元気の源になっていると感じます。

さて、物流(運送)2024年問題の大きな課題である労働時間規制ですが、その周辺領域で人工知能(AI)を活用したスタートアップ企業が続々と誕生しています。ただ、中には問題の本質がドライバー不足であるとの誤った認識が拡がっており、「何」を「どのような方法」で「いつまでに解決」するのかのヒントは、中間流通(サプライヤー  ~ カスタマーまでの全領域)に於ける商品の移動・タッチ回数減少、そして必要なサービス(時間指定など)の有料化または条件緩和にあると考えています。

例えば、最適配送経路の計算ロジックは、運送現業を深く理解していないと既存配車システムと変わらず最終的に人手に依る調整が必要です。なぜなら、法規制の壁をクリアするだけの法的合理的根拠への理解(システムで言う要件定義)が不足していたり、マージン(取扱手数料)と称する多重下請け構造(中抜き行為)の解消に踏み込めない物流関連企業が殆どだからです。簡潔に言えば、ドライバーや作業員の処遇に充当すべき正当な対価(もちろん適切な価格競争は歓迎します)のために何をすべきか、どこから手を付けて良いのか、経営が成り立つのかなど、優先順位をつけて経営を継続する必要があるからです。最終的には納品数量や納価(企業秘密)が伝票に記載されていればWin-Winにはなりませんから、発注側が二の足を踏むのも当然でしょう。