オフィス鴻

社内言語の壁

2024年05月05日

異なる企業文化を経験したことで人間関係と同じくらい大変だと感じたことに「社内言語の壁」があります。同じ業界だから、他部署の同僚だからと言う理由で相手に伝わっているとの思い込みがあると、同じ言葉(単語)でもニュアンスだけでなく言葉の定義自体が異なっていることが多いです。最近は人材流動化が活発化して、より言葉のギャップが仕事の進め方や成果に影響するように思います。例えば、システム要件定義を行う、新事業を立ち上げる、部署異動等での打合せなどで自分自身は理解できていても、相手は別の意味で理解していたり、知らない言葉でも前後の文脈(話の内容)から推測して理解していることがあることを前提としておく必要性を感じます。

一番やっかいなのは、ある程度までプロジェクト等が進んだ段階でこの理解差が判明したときで、その場で短期間に修正できる内容であればまだしもシステム検収後に発覚する(ベンダーとの契約形態にもよります)と、システム稼働の遅れだけでなく、システム上のバグとして扱えないほどのリスクを抱えることになります。通常、PMO(Project Management Officer)は進捗管理が中心ですが、編集人は必ずプロジェクト参加者に個別に相談する時間を設けて「言葉の定義」を確認していました。それでも、現業や他部署との行き違いは少なからず発生しますので、企業理念やビジョンの浸透と同様に社内特有の言語(意味)への理解は欠かせない作業でした。

そこで、年に数回は関係者(同部署でも、プロジェクトでも一緒に仕事をする同僚や上長)との話す機会を設けることで、それぞれの解釈・気付き・日々業務との関連性などと併せて極力齟齬が少なくなるようにしていましたが、企業内での言葉を正しく理解することへの必要性に触れる程度でした。換言すれば、それだけ従業員個人単位で理解が異なれば、作業効率・生産性が著しく低くなる主要因となると思っています。みなさんの勤務先にはマニュアル以外に「社内用語辞典」に相当するものがあれば素晴らしいことだと思います。