オフィス鴻

マンション開発と鉄道

2023年11月18日

不動産経済研究所の調査で首都圏の新築マンション価格がほぼ1億円になったとの記事がでていました。働き方の変化やパワーカップル、富裕層の投資対象として首都圏ではタワーマンションが多く建設されていますが、出勤時のエレベーターや近隣駅の混雑、修繕積立金問題、ペアローン、借入変動金利の上昇、人間関係(住む階でのマウントなど)など、憧れの生活とは別のところで悩みも多いそうです。

元々は、鉄道会社が自社沿線の宅地開発を進め利用者と地域人口の増加をもたらしていましたが、現在は他社線への乗り入れが進み都心へのアクセスが向上した反面、以前ステータスとなっていた都心から離れた分譲地や昭和時代の団地などの高齢化と過疎化が進んでいます。編集人の住んでいる地域も、30年前は街全体がテレビの有名なドラマやコマーシャルで使われていましたが、今は高齢化が進み比較的その子供世代へと代替わりしているので、昔の良き雰囲気とはだいぶ様相が変わってきました。ただ電鉄会社が駅および周辺の再開発(施設賃料は2倍近くに高騰しているそうです)に力を入れており、また住みたい街として転入してくる若い世代や子供の数も比較的多く、超高層住宅(所謂タワーマンション)が立てられない地域のため木々や緑も非常に多いところです。難点は、首都圏でも有数の高混雑率路線であることですが、コロナ禍で多少緩和したようです。

一方で、近隣住民生活に危険を伴う所有者不明や撤去に応じない建物等に対して自治体が強制代執行を行うようになってきており、また条件の良くない賃貸物件への入居者減少、空き家の増加などが身近な問題になってきました。今後、人口減少が確実に見込まれる中でも鉄道事業者と行政が手を組んで「住みやすく人が集まる街づくり」を進められる地域は良いのですが、次世代への新陳代謝が進まない地域では行政サービスの劣化も現実化しており、雇用先と税収増が期待できる環境がない限りは、残念ながら限界集落のようになる可能性は高いかも知れません。