顧客視点と飲食業
2023年12月03日
企業が勘違いしやすいことの1つに、顧客の嗜好性とビジネスモデルとの満足度や訴求に対する先入観があります。そこには、企業側が提供するサービスと顧客(クライアント)の要望にミスマッチが起こることで、市場調査(マーケティング)をしたのにそのサービスが魅力的に写らない満足感のないビジネスとなるリスクがあります。現代社会では、顧客はSNSや口コミなどを含め非常に多くの選択肢の中から自分に合った物やサービスをチョイスできますので、複雑で細分化された全ての顧客を満足させられる魅力あるビジネスを作り上げるのは非常に難しいことと言えます。
逆説的には、ある顧客層に特化したサービスを展開することは既存顧客の一部を失うリスクが伴いますが、来店・購買頻度の高い顧客層をターゲットにすることで、余分な投資や材料等のコストを削減・効率化することが可能です。例えば、飲食店経営でも大手チェーンにはない魅力を顧客側が感じてくれれば、エキナカ等の回転率重視で不特定多数の顧客へのサービスとは異なり、メニューを高単価設定にしても相応のオーダーを入れてくれる可能性が高いとも言えます。ただし、あくまでも提供サービスが一定水準以上であることが前提であり、こだわりを持って来店してくれる顧客であれば、混雑した店に比べて従業員とのコミュニケーションできる時間が増え、より深く質の高いサービスに集中して提供できますから、仮に総顧客数が減少したとしても来店頻度と客当たり単価が増えることで総売上・利益の向上が見込めると考えています。
一例として鰻料理専門店では松竹梅のランクを設けると、中間の竹の注文が一番多くなると言われていて価格設定にも幅ができます。また、注文を入れてから捌くタイプの店ではうな重の提供まで小一時間かかるため、待つ間に軽い料理(うざくなど)とアルコールを楽しんで頂ければ、店側と顧客側双方にプラスのメリットが生じます。もし、昼食等で時間が無ければ既に焼き作業まで終わっていて、注文が入ってから仕上げるだけの店を利用するなど、顧客が使い分ければ良いのだと思っています。