タクシー規制緩和と全体最適
2024年04月18日
ウーバー・ジャパンは、全国ハイヤー・タクシー連合会に賛助会員として正式加盟したとプレスリリースしました。同社は国土交通省の方針により旅客運送事業免許は取得できなかったものの、2014年からスマートフォンアプリによる配車サービスを開始して以降、事業者へノウハウを提供することで業務効率化や顧客増加、乗務員の売上向上の側面的支援を担ってきました。今回の賛助会員としての加入も、タクシー・ハイヤー業界の課題解決に貢献することで、ライドシェア解禁に慎重な政治や世論を見極めての戦略だと思われます。
ライドシェアについては、東南アジア域内の「グラブ(シンガポール)」が知られていますが、このサービスが一気に拡がった背景には東南アジアでは日本を追い越してデジタル環境が一気に普及したインフラ整備にあったことが挙げられています。当初は運転技能・サービスの質が悪い運転者も多く利用者(乗客)とのトラブルも頻発していたそうですが、携帯電話を操作するだけで目的地に到着できる利便性(本来は、職業ではなく同方向の目的地へ同乗して必要経費等を受け取る主旨だったと記憶しています)に対するニーズは高く、研修・評価システム・補償制度などを整備していった結果、利用者にとってリスクの高いサービスから幾分脱却しているようです。
一方、あくまでも編集人の感想に過ぎませんが、アプリ配車では車種・時間・優良運転手・タクシー会社の選択・チップメニュー(有料サービスも含まれます)ができるため、タクシードライバーの質は確実に高まっていると言えるでしょう。他エッセンシャル業界でもオンライン診療(厚生労働大臣に日本医師会推薦の武見氏が就任しました)、中間流通全体における物流効率化など、消費者が利便性・品質・料金などを比較してサービスを選択できるようになれば、いずれ生産性向上やGDP拡大(1つの比較基準に過ぎません)に繋がると考えています。