東南アジアの個人商店
2024年01月05日
30年ほど前から東南アジア(主にマレーシア、タイ、インドネシア)を訪問する機会が多くありました。目的は、東南アジアでの中間流通ビジネス構築のヒントを得ることで、家族への感謝の意を込めた家族旅行をしながら、現地でドライバーさんを雇い都市圏周辺部の流通事情を自分の眼で確かめることにありました。簡単に言えば、ある程度の規模の町や主要幹線沿いには数坪の自宅兼店舗で家族経営する特段商品構成の違い(味の素の小袋は良く見かけました)もない商店が数多くあり、恐らくサプライチェーンなどの概念からは程遠い非効率でありながらも生活密着型ビジネスだったということです。また、地域のコミュニティーのような役割や、トイレを借りる場所(昭和中期までの水洗式でないトイレ)として地元に根付いているように見受けられました。現地のドライバーさんに言われたのは、安いミネラルウォーターだけは買わないようにとのことで、中には使用済みのペットボトルに再び現地の水を入れて販売する商店もあったようです。
このような商店数や移動式屋台(食べ物以外のモノを積んでいる場合もある)の数は正式統計が無いのでわかりませんが、一般的に「パパママショップ」と呼ばれているそうで、中間流通を担う企業(個人の場合もある)が多層階的に構成されており、在庫や受発注情報も都市部を除いてはIT化は進んでいませんでした。また、そこにそれぞれの中間業者(卸・小売業など)が中間マージンを得る既得権益が生まれていたことから、恐らく数百万軒はあると思われる個人商店の効率化は遅々として進んでおらず、早急に進める必要性も無かったように思います。
しかし、最近インドネシア(特に島嶼部が多い)のコングロマリット型の総合企業やスタートアップ企業が、ワルンと呼ばれる個人商店向けのアプリを使用した在庫管理・商品発注・EC・決済(掛け売り)などを始めたそうで、日本では乱立気味の決済サービスやポイント制の欠点である統一性のなさは、逆に日本より進んだプラットフォームになる可能性が高いと考えています。