返品ロスの影響度
2024年06月02日
編集人は中間流通に長年携わってきましたが、小売業からの返品ロス問題は未だにビジネスに大きな影響を与えています。しかし、最近のECでは、プラットフォーム運営会社(Amazonなど)の返品ポリシー(理由に関わらず30日程度)により、本来は出品者の責任でない原因での高返品率による商品価値棄損(再販しない限り在庫価値はゼロ)と処理コスト(通常出荷の4~5倍)の高さにあると言います。COGS(Cost of goods sold)と呼ばれる売上原価(製造または調達コスト、配送料、労務費など)が全て損失になり、追い打ちをかけるように廃棄処理にも費用が嵩みます。
一方で、プラットホームが有機的検索エンジンだと考えれば、様々な検索エンジンの最適化(SEO;Search Engine Optimization)に取り組むことが重要になります。例えば、検索ユーザーが求める有益なコンテンツ提供を通じて、検索エンジン(Googleなど)に正しく評価されるように自社Webサイトを改善すれば、直接自社のサイトにアクセスされる可能性が高くなります。自ずと返品率、仲介手数料、返品コストは減少する可能性が高くなり、そこに販売データ分析とBEP(損益分岐点)を加味した販売チャネル戦略を実行することができる組織であれば、販売先別の商品構成(マーケティング)を都度選択・改善することが可能だと考えています。
また、あくまで一般論の範囲ですが、従業員1人当たりの商品販売による営業利益(粗利と呼ぶこともあります)は、従業員1人分の給与(法定福利費等を含む)の2倍以上が必要だと言われていることを鑑みれば、生産性を阻害する悪要素は少ないに越したことはありません。換言すれば、権限移譲を含めてマーケットの背景(その分野の文化や仕組みを理解していること)を最も正確に知っている人材を中心に置き、全体最適の意識と行動力のある人材が正しい情報分析を基に判断を下せる組織として機能させることが、従業員同士のつながりや適正な報酬、ロイヤリティに結び付く企業に進化させるのだと考えています。