往診医・看取医の存在
2024年04月26日
海外ではスイス・ベルギー・アメリカなどで安楽死が権利として認められていますが、日本では法律で認められていません。また、尊厳死(患者の意思に基づいて延命治療は施さないること)の選択についても、倫理的問題(遺族の後悔、医師への訴訟など)や意見等から結論が出されていません。ただ、終末期医療における延命治療(中止も含む)に関するガイドラインは存在していて、本人と家族、医師による議論と合意形成がなされれば、延命治療の中止を含めた判断ができることが示されているそうです。そのため、延命治療の苦痛から逃れたり、人工呼吸器・胃ろうなどがら解放されたいと本人が思っている場合には、緩和病棟のある大学病院等で最後を迎えるケースもあります(友人は病院での緩和ケアを選択して、数か月で他界しました)。
もし治療による回復の見込みがなくなった場合には、本人が希望した場合に限り、家族の同意や医師の責任を問わないことなどを尊厳死宣誓書(リビング・ウィル)として作成することで、仮に本人の意識が回復しなかった際でもこの内容を実行することができるとされています。そこには、医療関係者はIC(インフォームドコンセント;informed consent)により患者の意思を確かめ尊重するスタンスのため、当事者(本人・家族)の決定に委ねられているのが実情です。
実際に大学病院での入院治療を受けて感じたことは、医師は少しでも病気が治癒する可能性がある場合以外は無駄な治療は行わないということです。編集人が罹患した疾病(自己免疫介在性脳症)も極めて特殊な抗体生成、脳内細胞の機能不全、脳血流異常などが主な原因というところまでは判明しているのですが、現時点で有効な治療法はなく、症状の悪化を少しでも食い止めるための特殊な治療・服薬を続けています。あと十数年後には何らかの薬や治療法が見つかる可能性はあると考えていますが、現時点では自分で身の回りのことができなくなったら自宅で往診医・看取医・訪問看護師のお世話になりたいと考えています。