オフィス鴻

気候変動と脳の大きさ

2024年01月21日

日本経済新聞の科学の扉と言う記事に、身体への影響に関する記事が掲載されています。それによると、国際医学誌「ランセット」と国際機関との共同研究で、地球温暖化が気づかないうちに人間の健康悪化や動物の凶暴化などをもたらしているとあります。具体的には気温が2℃上昇したとしてのシミュレーションでは、蚊の生息域拡大(北上)により感染症が蔓延するリスクが高まっていること、高齢者の熱関連死亡率が20年後には5倍近くに達すると予測されています。また、暑さが生物の凶暴性を増加させ、実際の疫学調査では犬やヘビに噛まれる事案が5%増加、平均気温が1℃上昇すると妻やパートナーへの暴力行為が5%増えるなどとされていますが、あくまでも統計上の推計であることが附記されています。

その中でも気になったのは、生理学的な仕組みはまだ解明されていない段階であることを前提とした場合、暑さによる生理的ストレスの高まりが暴力行為を助長させる原因として「脳の縮小」が挙げられるそうです。その理由は、脳で生じた過熱による大量の熱を効率よく外気へ放出させて冷却させるためであり、実際の研究では約10万年周期で訪れる氷期(地球表面の温度が5~10度下がる時期)とその後の人間の頭蓋骨を調べると、10%程脳が小さくなっていると言われているそうです。

なお、生理的ストレスは上記以外にも屋外労働生産性の低下、高温・干ばつ等による作物成長の阻害に伴う栄養失調になるとも懸念されています。最近では、低気圧等の通過時や雨が近づくと頭痛や関節痛がひどくなる、梅雨時は気持ちが沈みがちでだるいといった気圧・湿度・温度変動による身体の不調全般を「気象病」と表現することもあるそうです。その原因として自律神経(交感神経・副交感神経)のバランスの乱れは特に気圧低下が関係しているとも言われ、交感神経優位の場合はめまい・片頭痛・関節痛、副交感神経優位の場合は眠気・だるさ・うつ症状などが発現しやすくなるとの研究結果もありますので、日頃からストレス耐性を高めるケアが重要なようですね。