オフィス鴻

ギグワークアプリ

2024年02月10日

履歴書も面接も不要で、働きたい時間と働いて欲しい時間をアプリでマッチングするスキマバイト募集サービスを手掛けるタイミーという企業があります。人手不足の業界(飲食業・物流業など)やイベント要員など、高い専門性を有していなくても雇主側が来て欲しい時間や求めるスキルを指定した求人情報と事前登録した諸条件にあった働き手が自動マッチングされると同社HPに記載されていて、TV広告への露出度も高く、労働条件通知書を自動生成する機能があり、また当日に給料が振り込まれるため現在は500万人以上が登録しているそうです。

編集人の周囲にはこのサービスに登録・利用している人はいませんが、勤務する地域最低賃金以上×稼働時間が働き手の収入(交通費が支給されない案件あるようです)となる仕組みとのことですから、条件の良い求人案件は早い者勝ちになることでしょう。また、募集に際して求めるスキルを設定でき、即戦力で働けるワーカーが来るので面接や教育の必要がないとありますが、雇主からすれば同社にマッチング手数料(支払報酬×30%)と1稼働あたり200円の手数料を支払いますので、最低賃金水準で募集をかけても時給換算では1,500円前後の人件費となります。その他、引き抜き行為(1回働いた人が同社を介さずに直接雇用されること)が認められており、背に腹は代えられない人手不足の状況である場合ならともかく、労働対価に見合う価値ある人材を必ず確保できて継続した戦力化ができるとは限らないでしょう。

アメリカやヨーロッパでも、このようなギグワークプラットフォームが普及しているそうですが、何らかの理由で予定シフトに入れなかったりすると勤務スコア(質を担保するためのペナルティーポイントの累積)に影響して一定期間アカウント停止等の措置が講じられると言います。また、スキルに対する評価尺度や職場の労働環境(常勤者と同じではない)の認識違いなどが生じるため、事業者側も派遣スタッフ利用と施設稼働率の狭間でビジネス継続判断を迫られることになりますね。