Amazon送料引上げ
2024年06月03日
日本における最大通販サイト(プラットフォーム)となったAmazonが、プライム会員を除いて本年3月から配達料金込みの最低注文金額を2千円から3.5千円に引き上げました。編集人は、自分の仕事の進め方に最も適している紙媒体の書籍を主に他社から購入していますが、先日Amazonで購入した書籍(置き配指定)は、外部包装はおろか注文した書籍自体にもダメージがあるほどのひどい状態で配送されてきました。すぐにAmazonに連絡して翌々日には新たな商品に取り換えて配送してもらいましたが、一元化されたサービスメニューの1つ(クレーム対応および事後処理)であり、相応の評価に値する経験だったと考えています。
一方、物流クライシスとしての観点で俯瞰すれば、時間指定による再配達の減少、受取方法の選択肢を増やすことで宅配便事業者への負担軽減を図る一方、委託運送事業者の労働時間制限が4月から始まったため、依然として配送業者(品質の良い会社)の指定ができないままです。かつて大手配送業者(佐川急便、ヤマト運輸)が受託していた配送業務も料金交渉が決裂して撤退して以降は、地域ごとにデリバリー・プロバイダーへの配達委託を増やし始め、また個人事業者とアマゾンフレックスと呼ばれる業務委託契約を締結する形で労働時間規制を回避していますが、AmazonのAIプログラムを使っての配達を条件にしており実質的に指揮命令下に置くその手法に対して労働組合結成や従業員としての身分保障、更には二次下請事業者が行った一方的な契約破棄に対して地位保全仮処分を求める動きなども活発化しています。
最近では、配達員たちは2・3次下請けの個人事業主として元請事業者と業務委託契約を結び宅配事業に従事しているケースも多く、参入障壁も非常に低い代わりに期間満了以前であっても何らかの理由があれば即時委託契約終了の通告(契約条項に記載か)を受け仕事を失う可能性があります。結局のところ運送業界の多重下請け構造(中抜き)にAmazonが頼っている限り、お互いの主張は平行線をたどることでしょう。