オフィス鴻

エッセンシャルワーク

2024年09月16日

編集人は、本年4月から現在まで合計3冊の電子書籍出版を行いました。その第1編は「物流クライシスとエッセンシャルワーク」で、約40年近く関わってきた中間流通事業の中でも特に人材不足が顕著なエッセンシャルワーク事業経営に関連した内容に特化して執筆しました。エッセンシャルワークとは、人々が日常生活を送る上で不可欠な仕事と定義され、医療・福祉・介護、保育、運輸・物流、小売業、公共交通機関、電力・ガス・水道などの社会インフラを指しています。そして、このエッセンシャルワーカーは原則対人または現業であり殆どが現場でサービスを提供することが特徴のためリモートワークへの切替が難しい職業です。

一方、エッセンシャルワーカーにはコロナ禍等の緊急事態下でも特に感染のリスクを負いながら医療現場等で働く人々に対して各国首脳などのトップが感謝や敬意を表したことが、メディア等でも広く取り上げられました。しかし、エッセンシャルワーカーの重要性が広く認識されても人手不足が顕著な職種が多いという実態から、需給のアンバランスを緩和するために政府が主導する形で賃金・処遇・働き方の改革へと様々な施策がとられ始めています。しかし、日本ではブルー・カラー(アメリカで現場労働者が青色の襟がついた作業服を着ていたことが由来)に対すて見下したり、偏見や差別的な言動をする方も現実にいます。

今回、エッセンシャルワーカーの重要性が広く認識されると同時に、日本では人手不足が顕著な職種である実態が問題視されています。厚生労働省の「令和2年版厚生労働白書」を見ると、2040年には就業者の20%が医療・福祉分野に従事する必要があることが示されており、需給バランス改革を急ぐ必要性を読み取れます。ホワイトカラー層(白い襟)は企画や研究、事務職、営業職など、オフィス業務を中心に知的・技術的な業務を遂行しますが、縁の下の力持ち的なエッセンシャルワーカーがいなければ、現代生活を享受することも困難な社会が待ち受けていることでしょう。