非正規社員の戦力化
2024年06月19日
令和2年に経済産業省が発表した「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会」資料からの抜粋になりますが、その報告書のサマリーはつぎの通りです。1つ目は 人材戦略は経営戦略やビジネスモデルに応じて個社性がある一方で、①経営戦略と人材戦略の連動、②As is‐To beギャップの定量把握、③人材戦略の実行プロセスを通じた企業文化定着の3つの視点、2つ目は人材戦略について①動的な人材ポートフォリオ、個人・組織の活性化(②知・経験のダイバーシティ&インクルージョン、③リスキル・学び直し、④従業員エンゲージメント)、⑤時間や場所にとらわれない働き方という5つの共通要素から俯瞰することが重要だとあります。そして3つ目は企業は自社の経営戦略上重要な人材アジェンダについて、経営戦略とのつながりを意識しながら、具体の戦略・アクション・KPIを考えることが有効であると記載しています。
一読しただけでは非常難しい内容なのですが、要約すれば今後の日本を経済成長軌道へと転換していくには、もっと有効に人材へ投資することだと編集人は理解しています。つまり、この30年間で失われた人的投資は労働人口の約4割を占める非正規労働者には正社員に比べて向けられていなかったため、低生産性と労働の質の低さが経済停滞の主要因になった可能性があるということでしょう。そこには、雇用期間の定めのない社員(正社員)に比べて非正規社員の能力向上・スキルアップの機会が極端に少なく、賃金格差の原因となっていることが伺えます。編集人も自ら事業所等に出向いて、非正規として働く方の中から正社員以上の仕事をしている方については、人事管掌役員に正社員登用を推薦(職務権限ギリギリの範疇でした)していました。一方、正社員としての資質に大きく欠ける人員がいる場合には、組織の問題として改善案を含むレポートを提出していました。
最近は転職ブームですが、即戦力としての実力が無ければ当然採用されません。人手不足を嘆くより、非正規従業員を戦力化することに経営資源を振り向けることの方が、遥かに理に適っていると考えています。